末期がん克服の全記録!
がんで余命1年と宣告された脳神経外科医が、低用量抗がん剤と食事療法で末期がんから生還した。
最初は治療を断念するが、3年経ってがん性疼痛に見舞われて手術に踏み切る。抗がん剤治療をめぐって大学病院を退院。肺転移、骨転移の痛みに耐えかねて主治医を探し、化学療法に詳しく患者個々に合った治療を行う医師と遭遇。葛藤しながら、がんについて学び考え、医師との二人三脚と食事でステージ4から寛解する。
その試行錯誤の過程を時系列で克明につづり、なぜ、がんの影が消えたのか――自身の治療経過をたどりながら、具体的に医学的な根拠を詳しく解説。わが国ではまだ、エビデンス(証拠)がないと言われ、余り取組みがされていない低用量化学療法の生きたエビデンスとして、抗がん剤治療に苦しむがん患者さんが納得のいく治療を受けるためにはどう考え、医師と共に治療に取り組めばよいか、心強い指針を示す。
また、がん患者の免疫を支えるが、厳密な実施は難しいとされるゲルソン食事療法の科学的裏付けと、続けるための工夫を体験から分かりやすく記し、がん予防としての役割にも触れる。
要は、がんに負けない免疫力を保つこと。がん細胞を攻撃して打ち勝つ主力は、患者自身の白血球中の自己免疫を担うリンパ球であるが、がん治療に有効な抗がん剤は、その副作用として患者のリンパ球数を減らす。そのため抗がん剤治療は、患者個々の状態に応じた、リンパ球数を維持し免疫力を低下させないきめ細かな対応が必要であり、患者本人も、ストレスに弱いリンパ球を減らさないように、睡眠、飲食、運動、排せつを心掛け免疫力を上げる努力が必要となることを強調。
さらに、低用量抗がん剤の別のメリット、流行の免疫療法や遺伝子治療の問題点に言及し、今後の成果が期待される、がんワクチン療法、ナノ抗がん剤、分子標的薬オプジーボの作用と難点・副作用について、また、遺伝子解析による新たなワクチン療法の取組みへの展望も示す。
がんを生き抜くためのアドヴァイス――がんの闘病はきっと変わります。
<主要目次>
[闘病編] プロローグ
2010年6月~2017年9月
[治療編] 1.がんを生き抜くための基本
2.私の取り組んだ自己免疫の保持療法
3.抗がん剤と上手く付き合う
4.私が選んだゲルソン療法
[資料編] 友人への手紙(その1~その4)
ゲルソン食試食会で話したこと
私の病理組織 検査および化学療法の経過
ゲルソン食事療法で食べてよい食品、禁止食品
ゲルソン食事療法三段階ラダーの使い方
あとがき
<著者略歴>
大田浩右(おおた・こうすけ)
1934年 岡山市生まれ
岡山大学医学部卒業・同大学院終了
1976年 大田記念病院開設
2006年 明神館クリニック開院、現在に至る
2000~2012年 岡山大学医学部医学科臨床教授
〔受賞等〕
大田式CT画像電送装置による広域救急医療ネットワークシステムの構築に対し、日本医師会最高優功賞受賞。臓器移植対策推進功労者として、厚生大臣感謝状、腎移植の学術的貢献に対し、Congress of Cell Transplant Society 学会賞受賞。