マーク・ジャクソン 著
稲毛英介 訳
大塚宜一 監訳
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喘息や湿疹、食物による不調などの症状は古代から知られており、19世紀初頭から花粉症の詳細な記載があった。しかし、これら別々の疾患と考えられていた複数の病気が共通の原因と病態を持つとして、フォン・ピルケが「アレルギー」の名で表現したのは1906年であった。彼の概念は、疾患に対する免疫と組織を障害する過敏反応を示唆した。アレルギーは1世紀余りのうちに、西欧のエリート階級から一般庶民、途上国の人々へと広がり、より致死的な病となり全世界へと拡大する現代病となる。本書は学説史から社会経済、環境、文化まで広くとらえ、英米の著名な医学・科学および一般紙誌で高く評価されている。
<目次>
序 文
第1章 学説史
現代病 文明病 アレルギーの学説史 アレルギーの国
第2章 奇妙な反応
特異体質と過敏症 クレメンス・フォン・ピルケとアレルギーの誕生
アレルギーのメカニズムと意味 アレルギーによる死
第3章 診察室でのアレルギー
花粉症、階級、そして文化 予防的接種療法と臨床アレルギー学の起源
臨床アレルギー学の拡大 黄金の子牛 アレルギーの規模
第4章 グローバル経済とアレルギー
有病率と死亡率の世界的な動向 アレルギーの世界的ネットワーク
アレルギー、医学、そしてマネー アレルギーに付け込む
第5章 文明と疾病
リスク社会 花粉と大気汚染 アレルギーと現代の住まい
ライフスタイルと病気 文明の噴火口
第6章 近代性への抵抗
自然への回帰 満たされない欲求 アレルギーの政治経済学
意味とメタファー(隠喩)
第7章 未来
<監訳者略歴>
大塚 宜一(おおつか よしかず)
1963年生まれ
順天堂大学医学部、同大学院医学研究科卒業
順天堂大学医学部小児科先任准教授を経て、現在同客員准教授、免疫アレルギーグループ長
<訳者略歴>
稲毛 英介(いなげ えいすけ)
1981年生まれ
新潟大学医学部卒業。順天堂大学大学院医学研究科卒業
2017-19年にかけて、上原記念生命科学財団等の海外留学助成金を得て、米国コロラド州コロラド小児病院に粘膜免疫のメカニズム研究のため研究留学
2020年4月より順天堂大学医学部小児科特任助教
順天堂医院小児科アレルギー外来を担当