出血との闘いの記録
大量出血で死なないために、古代より戦争、狩猟、労働によるケガ、切断術などの場面で、圧迫法、外用薬、焼灼(しょうしゃく)法、結紮(けっさつ)法など様々な止血法が試みられてきた。
しかし近代までは焼きごてによる残酷な焼灼法が主流であった。結紮法は手技が面倒で糸が化膿を引き起こしたが、焼灼法は化膿を抑えたからである。
ルネサンス時代に結紮法が復活し、17世紀にターニケットの発明による強力な一時的止血が可能となり結紮法が普及する。血管解剖の知識、止血機序の解明、鉗子、結紮糸の改良、消毒法の発明により、止血法が完成するまでを辿る。
<目次>
1 止血法のはじまり
2 血管解剖のはじまり
1.古代エジプト 2.古代ギリシア 3.ヘレニズム時代
3 古代の切断術と止血法―外科の黄金時代
4 中世前期の止血法―焼灼
5 中世後期の止血法
6 パレと結紮法
1.銃創治療の改革 2.切断術の改革 3.17世紀における結紮止血法 4.イギリスにおける結紮止血法
7 ターニケット
8 18世紀の止血法
1.18世紀前半の止血法 2.18世紀末から19世紀初めの止血法
9 止血鉗子
1.動脈鉗子の誕生 2.止血鉗子の発展
10.リスターと結紮法
1.非吸収性の糸ー絹糸 2.吸収性の糸ー腸線(カットグート)
むすび/訳者あとがき/訳注
サミュエル・クーパー『臨床外科事典』第五版より「出血」
<著者略歴>
サミュエル・C・ハーヴィ(Samuel Clark Harvey)
1911年 エール大学卒業。病理学、内科学を研修。1914年 ピーター・ベント・ブリガム病院外科。1917年 第一次世界大戦参加。1919年 エール大学外科学助教授。1924-47年 同教授。以後、腫瘍外科学教授。創傷と熱傷の治癒に関する実験研究で高い評価を受ける。
<訳者略歴>
川満富裕(かわみつ・とみひろ)
1948年 沖縄県に生まれる
1975年 東京医科歯科大学を卒業後、一般外科を経て、小児外科を専攻
1984年 獨協医科大学越谷病院小児外科講師
1998年より終末期医療に従事
2013年 青葉病院院長