今も臨床と研究にいそしむ、米寿(88歳)を迎えたキャリア65年の女医のエッセイ。
糖尿病患者さんの診察をつづけ、国際学会での初のリモート講演にも挑戦する。
先日、逝去された小林亜星さんをはじめ、著名人との忘れられない思い出やエピソード、
また数十年にわたる二人三脚の治療で、見事な生き方を示す患者さんたちから教えられたことなど、
いつかは書きたかったことを綴る。
家族との葛藤やジェンダー・ギャップを乗り越えて、悲惨であった糖尿病女性の妊娠・出産が
無事にできるよう、ライフワークとして取り組んだ「糖尿病と妊娠」のエキスパートによる、強く温かい思い。
<目 次>
はじめに
1 患者さんから教えられたこと
坪井善明先生の場合
岡村喬夫先生の場合 治療管理と家族の協力
澤田隆治さんの場合
杉山元子夫人の思い出
小林亜星さんを偲んで
輝かしい受賞者たち リリーインスリン50年賞
見事な生き方の3人の受賞者 リリーインスリン50年賞
糖尿病治療は患者さんと医師の共同作業 前田利恵子さんの場合
2 尊敬する恩師と同志
私が師事し薫陶をうけた4人の恩師の名言
超偉大な吉岡彌生先生
デス・エデュケーション Death Education
追悼の記 松岡健平先生の尊い軌跡
追悼の記 ロイス・ジョバノヴィック博士 Dr.Lois Jovanovic(一九四七~二〇一八)をお偲びして
3 私の歩いた一筋の道
大きなセントローレンス川が流れ白皚皚の美しいモントリオールへの留学
私の歩いた一筋の道 ー糖尿病と妊娠の分野を開拓
初めて体験したオンラインによる学会
グローバル・ジェンダー・ギャップ・インデックス
何時死んでもいいと思える年になって考えること
朝顔の花よ、ありがとう
4 彼岸花の鎮魂歌
私の男女平等
吉野の桜 学・術・道
美しいもの
野に咲くベロニカ
ペンギンパレード
ペテロの涙
三つの愛 壊疽、獄中から、脳への転移
彼岸花の鎮魂歌
5 桜の花に寄せて
桜の花に寄せて
よみがえる生命 桜と腎の移植
母は強し
冴えわたる月の光に
万里の長城
夜更けの電話
ある晴れた日に
醍醐の桜
夏つばきの咲く頃に
<著者略歴>
大森安惠(おおもり・やすえ)
1956年 東京女子医科大学卒業。翌年、同大学第二内科入局
1974年 同第二内科助教授。カナダのマクギル大学留学
1975年 同糖尿病センター助教授。1977年にスイスのジュネーヴ大学留学
1981年 同糖尿病センター教授。1991年より同センター所長兼主任教授
1997年 定年退職。名誉教授。
1998年 国際糖尿病・妊娠学会(IADPSG)日本代表、現在に至る
2002年 東日本循環器病院(現・海老名総合病院)糖尿病センター長
糖尿病と妊娠に関するわが国のパイオニアで、1985年糖尿病と妊娠に関する研究会設立、
2001年日本糖尿病・妊娠学会に改め理事長となる。
2011年から13年WHOのGDMガイドライン作成委員。
〔受賞〕
吉岡弥生賞、坂口賞、サンサム医学研究賞、Distinguished Ambassador Award、ヘルシーソサエティ賞
鈴木万平賞など