有史以来4000年以上、創傷治療に様々なドレッシング材が試され応用されてきた。消毒法、無菌法による消毒薬と材料の試行錯誤を経て、今日の湿潤環境理論に基づく、親水性プラスティックの普及を予知させるドレッシング材の開発まで、進歩の理論と技術の後を辿る。
推薦:中條俊夫
(青葉病院元院長/日本褥創学会第1回学術集会会長)
翻訳のみではなく、訳者が医学史上重要である多くの書から得た知識を基にして、1つ1つの用語や内容に、適切な解説を訳注として付した点である。これによって本書は大変理解し易くなっている。この特殊性から、この訳本はある意味で原著と言っても過言ではない。…本書は近年にない名著であると考え推薦する。
<目 次>
序 章 創傷ドレッシングとは何か
1.創傷ドレッシングと包帯
2.本書の趣旨
3.創傷ドレッシングの分類
第1章 創傷ドレッシングの起源
1.未開医療と民間医療
2.シヤーウィーヤ系ベルベル人のドレッシング
3.古代エジプト
4.古代インド
5.古代ギリシヤ
6.ヒポクラテスと古代ローマ
第2章 消毒療法以前のドレッシング
1.中世の創傷ドレッシング
2.健全なる膿という教え
3.アンブロワーズ・パレ
4.一七世紀
5.一八世紀
6.一九世紀前半の創傷ドレッシング
7.一九世紀前半までの医療のまとめ
第3章 バイ菌理論――消毒法と無菌法
1.リスターの創傷ドレッシング
2.無菌法の開発
第4章 創傷ドレッシング用の線維
1.リント
2.シャルピーとトウ
3.オーカム
4.脱脂綿
第5章 ジョゼフ・サムソン・ギャムジー
1.ノリ包帯
2.ギプス包帯の歴史
3.ギャムジー・ティシュー
4.ギャムジー・ティシューの普及
第6章 その後の創傷ドレッシング
<著者略歴>
W.J.ビショップ[William John Bishop]
書誌学者、歴史家
1920年よりロンドン図書館、1924年より王立内科医師会、1943年より王立医学協会の司書を務める
1953年より王立産婦人科医師会の顧問司書。1961年逝去
<訳者略歴>
川満富裕(かわみつ・とみひろ)
1948年 沖縄県に生まれる
1975年 東京医科歯科大学を卒業後、一般外科を経て、小児外科を専攻
1984年 獨協医科大学越谷病院小児外科講師
1998年より終末期医療に従事
2013年 青葉病院院長
現在 三軒茶屋病院勤務