ラブと友たち

ー手術に立ち会ったイヌ

 

ジョン・ブラウン[John Brown] 著

川満富裕 訳

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スコットランドの医師にして作家ジョン・ブラウンが、人間とイヌとの深い絆を描いた名作短編 “Rab and his friends”(1908)のわが国初の翻訳出版。

大型マスティフ犬のラブが、飼い主に捧げた愛と忠誠が感動的に描かれた本書は、著者のブラウンがエディンバラ大学の医学生であったときの実話である。

本国で何度も版も重ね、各国で出版されて感動を呼んだ。アメリカの作家マーク・トゥエインは、「痛ましくも美しい最高傑作」とたたえている。ブラウンは短編小説の名手として、オ・ヘンリーにも並び称されている。

本書はまた、麻酔も消毒法もない時代に行われた外科手術の実際の貴重な記録として、乳癌治療の文献としてしばしば引用されることでも有名である。訳者は外科史の研究を通じて本書の翻訳出版に至った。

自然の中で、愛玩犬としてではなく「友」として暮らすイヌと人間とのたくましい生活と心の交流、スコットランドの厳しくも美しい情景が、美しい水彩画と共に髣髴とする。

当時の闘犬の様子を描いた資料としても重要で、ペットブームの今日の日本において動物との真のふれ合いを考えさせる1冊である。


<著者略歴>

 

ジョン・ブラウン

1810年 スコットランドのラナークシャー州ビガー生まれ

     生家は有名な神学者3代を輩出する長老派キリスト教徒の家系

     エディンバラ大学医学部へ進学

1827年    気鋭の外科医ジェイムズ・サイムの徒弟となるが、内科医に転身

1832年 ケント州チャタムの病院で内科研修

1833年 医学博士を取得後、エディンバラで開業

1846年より文筆活動開始

 

<訳者略歴>

 

川満富裕(かわみつ・とみひろ)

1948年 沖縄県に生まれる

1975年 東京医科歯科大学を卒業後、一般外科を経て、小児外科を専攻

1984年 獨協医科大学越谷病院小児外科講師

1998年より終末期医療に従事 

2013年 青葉病院院長

 現在、三軒茶屋病院勤務