狂気は古来よりさまざまなかたちで表われてきた。著名な文献に見られる狂気の姿は、現代精神医学の観点からどう読み解かれるか。奇怪な振舞い、並外れた暴挙、謎に満ちた言動などが引き起こした驚くべき事件の経過を辿り、その当時、後の時代の「宗教・呪術モデル」「医学モデル」での解釈を追いつつ、当該人物の置かれた環境、こころのあり方から何が読み取れるかを検証する。
<目 次>
1 ヘラクレスの泡
2 誇り高きアイアス
3 笑うデモクリトス
4 カンビュセス2世の暴虐
5 スパルタ王クレオメネスの自殺
6 酩酊するアレクサンドロス大王
7 アンティオコス1世の脈拍
8 カリグラの逸脱
9 リチャード2世の病?
10 シャルル6世の煉獄
11 マージョリー・ケンプの言語
12 メアリ・グローヴァーの発作
<著者略歴>
酒井明夫(さかい・あきお)
1950年 福島県福島市生まれ
1976年 岩手医科大学医学部卒業
1988年 コネティカット大学医学部総合医学部門Visiting Professor
1990年 岩手医科大学神経精神科学講座助教授
1996年 同講座内教授
2001年 同教授